日本義歯ケア学会理事長就任のご挨拶
2026年3月

洪 光
東北大学大学院歯学研究科 国際連携推進部門
2026年3月に日本義歯ケア学会第7代理事長を拝命いたしました東北大学大学院歯学研究科国際連携推進部門の洪 光と申します。本学会は義歯および義歯ケアに関して広く研究し、国民の歯科医療・保健・福祉への貢献および会員の知識の向上を目的に2009年1月に設立されて以来、すでに17周年が経ち、18年目に突入しました。本学会の前身である軟質義歯裏装材研究会を入れると28年目にもなる伝統ある本学会の舵取りを担うにあたり、その責任の重さに身が引き締まる思いですが、会員の皆様とともに、本学会のさらなる発展に向けて全力を尽くす所存です。
超高齢社会を迎えた日本において、口腔健康管理は単なる「お口の掃除」の域を超え、全身疾患の予防やフレイル対策、そして何より、人生100年時代における「人生の質(QOL)」を左右する極めて重要な要素となっています。なかでも義歯は、噛む、話す、笑うといった、人間が人間らしく生きるための根源的な活動を支えるパートナーです。適切にケアされた義歯は、単なる補綴装置ではなく、「身体の一部」として機能します。私たちは、その価値を科学的に証明し、社会へと還元していく使命を担っています。
昨今のデジタル化の流れを受けて、義歯の作成・機能・ケアにおいてパラダイムシフトが起こりつつあります。さらに、地域包括ケアシステムの中で義歯は単なる「噛むための道具」に留まらず、咀嚼・嚥下機能の向上、口腔機能の維持、全身健康維持の重要な基盤となっております。私の任期中は、日進月歩の材料学やデジタル技術を取り入れ、エビデンスに基ついた義歯ケアガイドラインの改訂・アップデートを行うための臨床研究を推進するとともに、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士のみならず、介護現場や看護、リハビリテーションに関わる専門職の方々と「共通言語」で語り合えるネットワークを構築し、多職種連携のさらなる強化を推進していきたいと思います。これらの活動で得られる知見を広く社会に発信し、国民の口腔リテラシー向上に努めてまいります。
学会という組織は、会員の皆様お一人おひとりの知恵と情熱が合わさって初めて、大きな力となります。時には厳しく、時には温かく、皆様からのご指導・ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。「義歯ケア」の未来が、より多くの笑顔を生むものとなるよう、共に歩んでまいりましょう。
