日本義歯ケア学会理事長就任のご挨拶
2022年6月

村田 比呂司
(長崎大学 歯科補綴学分野)
2022~2023年度の日本義歯ケア学会理事長(第5代目)を拝命しました長崎大学歯科補綴学分野の村田比呂司と申します。この場をお借りしご挨拶申し上げます。
日本義歯ケア学会は約23年前の1999年に設立された「軟質裏装材研究会」を発端としています。当時、軟質リライン材に対しては否定的見解が存在していましたが、学問的な有用性を証明し、また新しいリライン材の開発を目指して活動を開始しました。主に鶴見大学(細井紀雄教授)、広島大学(浜田泰三教授)、東京医科歯科大学(早川 巖教授)の3大学を中心に年1回の研究発表会を実施してきました。その後、軟質リライン材のみならず義歯のケアに関する研究を幅広く推進する目的で、2009年「日本義歯ケア学会」を設立しました。現在、正会員約290名、賛助会員13社、特別賛助会員1社で、学会の理事等には14の大学等の会員が就任しています。
本学会では「義歯ケア」という共通の研究テーマに興味のある歯科医療関係者や研究者が入会し、大きな学会のように人数も多くないため、多施設臨床研究が非常に実施しやすい環境にあります。このことが本学会のもっとも誇るべきことと自負しています。実際、前理事長の河相安彦教授をプロジェクトリーダーとして義歯安定剤の多施設臨床研究を実施し、研究成果は高い評価を受けました。今後も多施設による研究を実施し、研究成果を義歯ケアに関するガイドライン作成やエビデンスの構築に生かしていきたいと考えます。
さらに本学会では義歯ケアに関する知識を広く国民に普及するため「義歯ケアマイスター制度」を立ち上げています。現在、歯科医師のみならず、歯科衛生士、企業関係の方など約100名の方が登録されています。これからも多くの方が義歯ケアマイスターの資格を取得されることを望みます。
学術大会に関しては年1回開催し、学会誌であるプロシーディングの発行も行っています。是非、多くの方々に学会に参加をお願いしたいと思います。
義歯補綴ではもちろん機能が最大限に発揮される義歯製作技術や知識も大切ですが、義歯装着後のケアをいかに実践していくかも非常に重要で、欠くことはできません。日本義歯ケア学会では、義歯のケアを通じて、患者さんのQOLの向上、そして健康寿命の延伸に尽力していく所存です。ご指導よろしくお願い申し上げます。