日本義歯ケア学会理事長就任のご挨拶

2024年4月

木本克彦
(神奈川歯科大学 クラウンブリッジ補綴学分野)

2024~2026年度の日本義歯ケア学会理事長(第6代目)を拝命しました神奈川歯科大学 歯科補綴学講座クラウンブリッジ補綴学分野の木本克彦と申します。この場をお借りしご挨拶申し上げます。

日本義歯ケア学会の前身は,1999年に設立された「軟質裏装材研究会」を発端としています。主に鶴見大学(細井紀雄教授)、広島大学(浜田泰三教授)、東京医科歯科大学(早川 巖教授)の3大学を中心に年1回の研究発表会を実施してきました。その後、軟質リライン材のみならず義歯および義歯ケア全般に関して広く研究し、国民の歯科医療、保健、福祉の貢献および会員の知識の向上を目的で、2009年「日本義歯ケア学会」を設立しました。現在、正会員約320名、賛助会員12社、特別賛助会員1社で、学会の理事等には16の大学等の会員が就任しています。

義歯ケアは、高齢社会のわが国において多くの義歯装着患者の生活に直接影響を与える重要な分野です。私たちは、患者様が快適に日常生活を送ることができるよう、義歯ケアにおける最新のトピックやベストプラクティスについて情報を共有し、専門知識の向上に努めてまいります。そのためには、学術的な研究やセミナー、そして臨床実践の向上が欠かせません。本学会では,年1回 学術大会を開催し,義歯ケアに関する最新の情報を発信し,学会誌であるプロシーディングの発行も行っています。また,義歯ケアに関するエビデンスの構築と診療ガイドラインの作成に向けて,学会主導型の多施設臨床研究を積極的に行っています。これまでに,義歯安定剤のマルチセンター臨床試験(DAGプロジェクト)を世界に先駆けて実施し、多くの知見を創出してきました。現在では,軟質リライン材のマルチセンター臨床試験(MCORTプロジェクト)を実施しており,それらの研究成果は,今後の診療ガイドライン作成に貢献できるものと期待しております。

一方,本会では、義歯ケアに関する知識を広く国民に普及するため「義歯ケアマイスター制度」を立ち上げています。現在、歯科医師のみならず、歯科衛生士、企業関係の方など約100名の方が登録されています。これからも多くの方が義歯ケアマイスターの資格を取得されることを望みます。 日本義歯ケア学会では、皆様と共に学会の使命を達成し、義歯のケアを通して患者様のQOLの向上、そして健康寿命の延伸に努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。